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日本会議佐賀唐津支部での講演に思う

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 7月16日、表記講演の機会を頂き、「拓く 福島泰蔵正伝」秘話について考えるところをお話しさせて頂いた。考えるところとは、上梓後に福島大尉がありたいと願い、自分もそう感じた軍人にとどまらない武人という生き様に注目し、その心を起点に、連綿と続く武人特有の心、特に「顧みずの心」について、自分が学んだことである。
 その顧みずの心とは、福島大尉がその体現を誓った旧陸軍の野外要務令綱領「死生を顧みず本分を尽くし斃れてのち止む」、大伴家持が歌った「海行かば水漬く屍・・・山行かば草生す屍・・かえりみはせじ」、自衛官の服務の宣誓「ことに臨んでは危険を顧みず責務の完遂に努め、以て国民の負託に応える」、におけるそれぞれの顧みずの心であり、それらの在り様とその繋がりを考える焦点とした。

 福島大尉の顧みずの心の在り様は桜の会での講話(前回ブログ「桜の会での講話に思う」参照)を機に得心したので、今回はそこを起点に、大伴家持の「海行かば」と自衛官の服務の宣誓との繫がり、連綿性を明らかにすることに注力した。

結論を言えば、顧みずの心とは海行かばも自衛官の服務の宣誓も福島大尉同様に己の使命・役割・責務・任務を果たすことに専ら心を砕く、わが身の生死、危険の大小など全く念頭に浮かばない位に全身全霊を込める心、であり、ここにおいて連綿と繋がっている武人特有の心である。
 
 ただ大伴の「顧みずの心」探求は思わぬ副産物を産んだ。大伴の祖が役割を果たすことが大君に尽くすことであり、役割を果たすことに専心することが大君に赤心を尽くすこと、この専心が顧みずの心であると言い伝えた志の精神は儒教も仏教も我が国に伝来する以前の敬神崇祖の念の下ただただ大君を尊崇して成立した。このことを考えると、役割を果たすことが尽くすことという基本中の基本を始めとする精神は事後の日本人及び武人の心の原型であり、源流である、との見解に到ったことである。
 前者の例は志賀島の火焔塚を挙げることが出来る。火焔塚は蒙古襲来の時、敵の艦船や上陸兵とその戦いを眼下に見下ろす高台で、自分達への危害を顧みることなく、僧侶達が怨敵退散・降伏を願って護摩炊きの祈祷をした、今に残る日本人としての戦いのあと、と受け止めている。ある年の第4師団記念日の帰りに元寇の戦いの跡を偲ぶため、博多湾が見下ろせる高台を探して上る途中でこの塚を発見した。今思うとこの祈祷は大伴の役割を果たすことが尽くすこと、を原型とした日本人の尽くす心である。参道はきれいに整備されていた。現地の方のこの僧侶たちの心に感謝し伝える熱い心を感じた。 
 後者の例は、大東亜戦争における硫黄島の栗林中将が部下将兵と誓った「日本精神錬成五誓」に求めることが出来る。同誓の第一項「日本精神の根源は敬神崇祖の念にある。純粋無雑の境地に立ち、この念をますます深め、我等の責務に全身全霊を捧げることを誓う」とある。敗色濃厚で、今となっては本土の人々の、それぞれの家族を含めた、生活がb-29の戦略爆撃から逃れて、一日でも長く続けられるように、とだけに戦いの意義を求め、しかも補充兵主体の兵団の戦意を高めるために、栗林中将が純粋無雑に行き着いた答えである。武人の心の継承であると同時に大伴還りの精神であったような気がする。栗林中将はその誓いを自らの行動を以て貫徹したが、そのことは別途触れたい。

 物心ついて以降本日まで、軍人と軍事、武人と武についての関心が低い、と感じて来た。自衛隊退官後の研究活動で福島大尉の資料に拠らず福島大尉が語られている、と実感したので福島大尉が残した生資料と必死で格闘し、福島大尉が何を思いどう行動したかの真実だけを見つめ、それが武人理解の正道と認識して、「拓く 福島泰蔵正伝」を書いた。今は武人の理解を深めることが残りの人生の命の使い方即ち”使命”とも考えるようになった。これらを踏まえ、私が言いたいことは秘話の範疇と、勝手に判断した。所謂秘話を期待していた向きには期待を裏切ることになったかもしれないが私の深意に免じお許し願いたい。又自衛官を武人と捉えることは全くの私見であるが、そこに福島大尉が単に軍人としてよりも武人として生きようとした精神に日本人としての連綿性を学んで欲しいという思いを込めたつもりである。そこをお汲み頂ければ有難い。

 武人の心旅はどうやら大山場を越えることが出来た。それもこれもこの機会を与えて頂いた同会藤原雄事務局長始め関係者の方々のご厚意の御蔭である。お世話を頂いた皆様及び取りつきにくい話にも関わらず最後まで熱心に耳を傾けて頂いた皆様に心からのお礼を申し上げたい。

 本講演周知のために作成された表掲のポスター(30cm*45cm)を戴いた。私にとって何よりのご褒美であり記念の品である。もろもろのご厚意に心から感謝。


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日本会議佐賀唐津支部での講演に思う(続)

 講演終了後、感謝の思いとこの機会ならではの発見に興奮した。その思いを振り返ってみたい。

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感謝の思い
 
 依頼を受け、同会及び同支部のことを調べてみた。

同支部は月に1回例会を開き、慰霊や建国記念等の行事や部内外の講師を招いた講演会等を行っている。具体的にはホームページによると、最近では、第五十七回 唐津市 建国祭・講演会「日本人の知らない日本の魅力」(2月)、第二回 市丸利之助中将 慰霊祭・「柏邨忌」〜世界平和を願った唐津の偉人〜(3月)、講演「大東亞戦争 丸田鉄夫 海軍大尉の証言」(5月)、例会・講演「令和御世替わり」(6月)などが挙がっている。

 この活動から、美しい日本を守り伝え、「誇りある国づくり」のため「悠久の歴史に育まれた伝統と文化を継承し、健全な国民精神の興隆を期す」等会の綱領実現を目指す草の根の国民運動を実践されている支部、と感じた。

 講演依頼の発端は「拓く 福島泰蔵正伝」を読んだ山口八郎氏(以前にも私のブログ「晴耕雨書」に何回か登場した腐れ縁の悪友といってよいほどの親友)からぜひ読めと勧められた同支部の藤原事務局長が読み応えを感じ、山口氏の米寿のお祝いで顔見知りとなっていた縁も大事にして、今回の運びとなったらしい。依頼を受けた私は丁度武人福島泰蔵の深堀をしていたところで、連綿と続く武人の心「顧みずの心」とは、をテーマにすることが日本人の伝統精神を考える上で、この支部の活動にも合致するのでは、とひらめき、敢えて、この機を逃してはならない、とギアをあげた。この依頼がなければ絶対にたどり着けない境地に今居れるという有難い思いで一杯である。


この機会ならではの発見の喜びをエールに代える

 市丸利之助中将のこと

 市丸利之助海軍中将の慰霊は藤原事務局長を中心として行われている。同中将は唐津出身で硫黄島の戦いでルーズベルト大統領に日本の利・米の非を説き世界恒久平和実現を呼び掛けた書簡を残して戦死した。講演の開始に先立ち、同局長から活動概要と資料を頂いた。福島泰蔵は高山彦九郎を崇敬し、彼のような武人になると終生努力した。その心を追って、群馬県太田市の高山彦九郎記念館を訪れたことがある。そこで高山彦九郎は地霊であるという表現があった。その地霊の意味について、土地ならではの気質や才覚があり、それを身につけた先人を地霊として崇め敬い手本として後世に名を残すようなす人材をこの地から育成すべき、という意と解した。その高山彦九郎は明治維新の70年前、徳川幕藩体制万全強固と誰も疑わなかったときに、一人尊皇倒幕の魁となって草莽の活動を続けたが幕府のしつこい探索に窮し、久留米森嘉膳宅で自害した。

 また市丸利之助中将は神武天皇即位の時の言葉(日本書記)から建国の精神、八紘一宇の精神のもと臣民はところを得てそのお考えを翼賛する、との意を説いている。この考えは今回強調させて頂いた役割を果たすことが大君に尽くすことという大伴の精神に通じるものである。大伴は神武東征に従い大功を立て最古の武の名門として、天皇の建国の精神を最も良く知り最も正しく伝えた。市丸中将がここに触れて日本精神をルーズベルト大統領に説いた精神の気高さというか日本民族の誇りの高さに、余人にはない大きな畏敬の念を抱く。

 市丸利之助中将が唐津の地霊として土地の若者の心に生き続ける活動となるよう願う。地霊に学ぶ同支部の活動に心からのエールをおくりたい。

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 翌日、田中・桜の会会長と山口八郎氏の案内で、市丸家の墓に参り、利之助中将へ慰霊の意を捧げ、前記”地霊”活動の成就を願った。場所は名護也山大乗寺。同寺は加藤清正公が朝鮮の役からの帰国後、その戦没者の追善供養のため一宇を建てた、のが始まりと伺った。同寺付近は清正が名護屋城滞陣の時住んでいたところとも聞いた。清正公と市丸利之助を結ぶ縁をしばし考えさせられた。

日本(にっぽん)締めでお開きのこと
 
 講演終了後、懇親会に参加させて頂いた。やはり雪中行軍についての関心は高く、質問を多く受け、時間内では触れられなかった点について意見交換が出来た。この出会いを機に更にメールなどで質問を頂ければ有難いと思う。お開きの締めは日本締め(にっぽん締め)であった。一本締めや三本締めは良く耳にするが二は聞いたことがないのでどのようなものかと思ったが手を、調子をとって、二回たたく、唐津支部独自の締め方であった。(表掲の写真、残念ながら動画には出来なかった。)オリジナルに拘る点に創意や伝統継承の矜持のようなものを感じた。この日本締めが更なるこだまとなって日本中に響くように願い、心から同支部へのエールとしたい。

この稿終り

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